勉強法
教科書の例題などを用いて,次の状態を目指す
- (must)各パターンの帰無仮説と対立仮説,検定統計量をイメージでき,計算できる
QC検定2級 他の記事
QC検定2級に関して、他の学習事項についても下記にまとめている。
計量値データの検定
検定における2種類の誤り(第一種の誤り$\alpha$,第二種の誤り$\beta$)は重要.
表で表すと次の通りである(行は本当の解,列は検定結果).
$H_0$を採択 | $H_1$を採択 | |
---|---|---|
本当は$H_0$ | $1-\alpha$ | $\alpha$ |
本当は$H_1$ | $\beta$ | $1-\beta$ |
- 第一種の誤り$\alpha$:帰無仮説$H_0$が成り立っているときに、棄却する誤り
- 第二種の誤り$\beta$:対立仮説$H_1$が成り立っているときに、$H_0$を採択する($H_1$を棄却する)誤り
- 検出力$=1-\beta$:対立仮説$H_1$が成り立っているときに、$H_1$を採択する確率.
- 検定は$H_0$を棄却して$H_1$であることを言いたいので,本当は$H_1$のときにどの程度の確率で$H_1$を検出できるかという意味で,検出力と呼ばれる
1つの母平均に関する検定・推定(母分散が既知)
母分散が既知なので、標本平均は正規分布に従う.
- 帰無仮説$H_0$:$\mu = \mu_0$
- 対立仮説は両側検定と片側検定のときがある
- 両側検定:$H_1$:$\mu \neq \mu_0$
- 片側検定:$H_1$:$\mu < \mu_0$または$\mu > \mu_0$
- 検定統計量:$u_0 = \frac{\bar{x} – \mu_0}{\sigma/\sqrt{n}}$
- 区間推定範囲:$\bar{x} \pm u \frac{\sigma}{\sqrt{n}}$
1つの母平均に関する検定・推定(母分散が未知)
母分散が既知なので、標本平均は自由度n-1のt分布に従う.
- 帰無仮説$H_0$:$\mu = \mu_0$
- 対立仮説
- 両側検定:$H_1$:$\mu \neq \mu_0$
- 片側検定:$H_1$:$\mu < \mu_0$または$\mu > \mu_0$
- 検定統計量:$t_0 = \frac{\bar{x} – \mu_0}{\sqrt{V/n}}$
- 区間推定範囲:$\bar{x} \pm t(\phi, \alpha) \sqrt{\frac{V}{n}}, (\phi = n-1)$
1つの母分散に関する検定・推定
統計量$\chi_0$が自由度$n-1$の$\chi^2$分布に従うため,これを利用して検定および推定を行う.
- 帰無仮説$H_0$:$\sigma^2 = \sigma_0^2$
- 対立仮説
- 両側検定:$H_1$:$\sigma^2 \neq \sigma_0^2$
- 片側検定:$H_1$:$\sigma^2 < \sigma_0^2$または$\sigma^2 > \sigma_0^2$
- 検定統計量:$\chi_0 = \frac{S}{\sigma^2}$
- 区間推定:$\frac{S}{\chi(n-1, \alpha/2)} \leq \sigma^2 \leq \frac{S}{\chi(n-1, 1-\alpha/2)}$
2つの母分散に関する検定・推定(等分散性の検定)
統計量$F_0$が自由度($n_A-1, n_B-1$)のF分布に従うことを利用して,検定および推定を行う.
- 帰無仮説$H_0$:$\sigma_A^2 = \sigma_B^2$
- 対立仮説$H_1$:$\sigma_A^2 \neq \sigma_B^2$
- 検定統計量:$F_0 = \frac{V_A}{V_B}$
- 導出:$F_0 = \frac{V_A/{\sigma_A}^2}{V_B/{\sigma_B}^2}$に、「帰無仮説$H_0$:$\sigma_A^2 = \sigma_B^2$」を代入
- 区間推定:$\frac{V_A}{V_B} \frac{1}{F(n_A-1, n_B-1;\alpha/2)} \leq \frac{{\sigma_A}^2}{{\sigma_B}^2} \leq \frac{V_A}{V_B} {F(n_B-1, n_A-1;\alpha/2)}$
- 導出:$F(n_A-1, n_B-1;1-\alpha/2) \leq \frac{V_A/{\sigma_A}^2}{V_B/{\sigma_B}^2} \leq {F(n_A-1, n_B-1;\alpha/2)}$を整理する
- 途中の変形で、F値の上側確率(pが0.5より大きい)と下側確率の関係を用いる
$F(n_A-1, n_B-1;1-\alpha/2) = \frac{1}{F(n_B-1, n_A-1;\alpha/2)}$
2つの母平均の差に関する検定・推定(母分散が既知)
母分散が既知なので、標本平均の差も正規分布に従う.
- 帰無仮説$H_0$:$\mu_A = \mu_B$
- 対立仮説
- 両側検定:$H_1$:$\mu_A \neq \mu_B$
- 片側検定:$H_1$:$\mu_A < \mu_B$または$\mu_A > \mu_B$
- 検定統計量
- $u_0 = \frac{\bar{x_A} – \bar{x_B}}{\sqrt{\frac{{\sigma_A}^2}{n_A} +\frac{{\sigma_B}^2}{n_B}}}$
- 区間推定範囲:$\bar{x_A} – \bar{x_B} \pm u \sqrt{\frac{{\sigma_A}^2}{n_A} +\frac{{\sigma_B}^2}{n_B}}$
母平均の差に関する検定・推定(母分散が未知、$\sigma_A = \sigma_B$)
母分散が未知なので、標本平均は自由度n-1のt分布に従う.
- 帰無仮説$H_0$:$\mu_A = \mu_B$
- 対立仮説
- 両側検定:$H_1$:$\mu_A \neq \mu_B$
- 片側検定:$H_1$:$\mu_A < \mu_B$または$\mu_A > \mu_B$
- 検定統計量
- $t_0 = \frac{\bar{x_A} – \bar{x_B}}{\sqrt{\left( \frac{1}{n_A} +\frac{1}{n_B} \right) V}}$
- $V = \frac{S_A + S_B}{n_A + n_B – 2}$
- 区間推定範囲:$\bar{x_A} – \bar{x_B} \pm t(n_A + n_B – 2, \alpha) \sqrt{\left( \frac{1}{n_A} +\frac{1}{n_B} \right) V}$
母平均の差に関する検定・推定(母標準偏差$\sigma_A, \sigma_B$が未知で異なる)
母分散が未知の場合には,等価自由度$\phi^*$が複雑(整数にならない可能性がある)のため,出題される可能性は低いと思われる.ウェルチの検定と呼ばれる.
- 帰無仮説$H_0$:$\mu_A = \mu_B$
- 対立仮説
- 両側検定:$H_1$:$\mu_A \neq \mu_B$
- 片側検定:$H_1$:$\mu_A < \mu_B$または$\mu_A > \mu_B$
- 検定統計量
- $t_0 = \frac{\bar{x_A} – \bar{x_B}}{\sqrt{\left( \frac{V_A}{n_A} +\frac{V_B}{n_B} \right) V}}$
- 区間推定範囲:$\bar{x_A} – \bar{x_B} \pm t(\phi^*, \alpha) \sqrt{\left( \frac{V}{n_A} +\frac{V}{n_B} \right) }$
データに対応があるときの母平均の差の検定・推定
データに対応があるときは、一つの分布として扱い、データが1群しかないときと同様に検定・推定する.
※$\mu_A, \mu_B$はデータA, Bの母平均,$d$はデータAとデータBの差である
- 帰無仮説$H_0$:$\delta = 0 (\delta = \mu_A – \mu_B)$
- 対立仮説$H_1$:$\delta \neq 0$
- 検定統計量:$t_0 = \frac{\bar{d}}{\sqrt{V_d/n}}$
- 区間推定:$\bar{d} – t(\phi, \alpha) \sqrt{\frac{V_d}{n}} \leq \mu_A – \mu_B \leq \bar{d} – t(\phi, \alpha) \sqrt{\frac{V_d}{n}}$
- $\phi = n-1$
計数値データの検定
母不適合品率$P$に関する検定・推定
サンプル中の不適合品の数は二項分布に従い,実用上は数がおおければ,正規分布に近似して検定を行う.
- 帰無仮説$H_0$:$P = P_0$
- 対立仮説
- 両側検定:$H_1$:$P \neq P_0$
- 片側検定:$H_1$:$P < P_0$または$P > P_0$
- 検定統計量: $u_0 = \frac{p – p_0}{\sqrt{\frac{p_0(1-p_0)}{n}}}$
- 2項分布の正規分布への近似条件:$n$がある程度大きく$np \geq 5$かつ$n(1-p) \geq 5$
- 上記の統計量の定義は2項分布が正規分布に近似できる場合を前提としているため,近似条件が成り立たないとき,本検定は適用できない
- 区間推定:$p \pm u\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}$
2つの母不適合品率の違いに関する検定・推定
2つの母集団の不適合品率を比較する検定.
QC的には「ラインAとラインBで製造した製品に不適合品率の違いがあるか」などの原因特定するために用いられる.
- 帰無仮説$H_0$:$P_A = P_B$
- 対立仮説$H_1$:$P_A \neq P_B$
- 検定統計量: $u_0 = \frac{p_A – p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}$
- 以降導出
- 2群の正規分布の和より,$\sigma_p = \sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A} + \frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}$
- 帰無仮説$p_A = p_B = \bar{p} (= \frac{x_A+x_B}{n_A+n_B})$より
- $\sigma_p = \sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}$
- 区間推定:$p_A-p_B \pm u \sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A} + \frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}$
母不適合数$P$の検定・推定
不適合数はポアソン分布に従い,不適合数の母平均$m$が$m \geq 5$であれば,正規分布に近似して検定できる.
- 帰無仮説$H_0$:$m = m_0$
- 対立仮説:$H_1$:$m \neq m_0$
- 検定統計量: $u_0 = \frac{\bar{c} – m_0}{\sqrt{m_0/n}}$
- 区間推定:$\bar{c} \pm u \sqrt{\bar{c}/n}$
2つの母不適合数の違いの検定・推定
2つの母集団の不適合数を比較する検定.
- 帰無仮説$H_0$:$m_A = m_B$
- 対立仮説$H_1$:$m_A \neq m_B$
- 検定統計量: $u_0 = \frac{c_A – c_B}{\sqrt{\bar{c}(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}$
- 帰無仮説のもとで、$c_A = c_B = \bar{c}$とできる
- 区間推定:$c_A-c_B \pm u\sqrt{\frac{\bar{c_A}}{n_A} + \frac{\bar{c_B}}{n_B}}$
分割表による検定・推定(独立性検定)
- 帰無仮説$H_0$:$P_{x_{i1}} =P_{x_{i2}} = \cdots = P_{x_{ij}}$
- QC観点:改善前と改善後の結果を比較して、「$H_0$:改善前後で効果がない(独立である)」と置くことが多い
- 対立仮説$H_1$:帰無仮説の等号のどれかが等しくない
- 検定統計量: $\chi_0^2 = \sum^m_{i=1} \sum^n_{j=1} \frac{(x_{ij} – E_{ij})^2}{E_{ij}}$
- $E_{ij}$は期待度数
- 自由度$(n-1)(m-1)$の$\chi^2$分布に従う
参考文献
- 教科書(日本規格協会)
リンク
- 過去問題集(日本規格協会)
リンク
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