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QC検定2級 管理図

勉強法

例題などを用いて,次の状態を目指す.

  • 各管理図が扱うデータ・使い分け・仮定している分布を理解している(まとめの表を参照)
  • UCLとLCL(管理図上に引く線)の値を大方計算できる状態にする
    • 係数などアルファベットを暗記する必要は全くない.
  • UCL・LCLの計算は,中心線(CL)$\pm$係数×(標準偏差 or 範囲の平均)ぐらいのイメージを持ち,管理図ごとに使い分ける
    – 例:$\bar{X}-R$だから$CL\pm係数×\bar{R}$だな,p管理図は2項分布だから$CL\pm3\sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n}}$)だななど

QC検定2級 他の記事

QC検定2級に関して、他の学習事項についても下記にまとめている。

単元難易度
重要語句(実践編)1
重要語句(手法編)2
信頼性工学1
管理図2
抜取検査2
検定/推定 回帰分析3
実験計画法3

管理図まとめ

次の表に,各管理図の種類ごとに,扱えるデータ.使い分け,仮定している分布をまとめている.
計数値の管理図については,不適合品数と不適合数の違いに注意してほしい.

  • 不適合品数:不適合品の数、1製品1カウント
  • 不適合数:1製品でも2箇所不適合がある場合は「2」とカウントする
管理図データ使い分け仮定している分布
$\bar{X}-R$ 管理図計量値サンプル数が少ないとき($1<n<10$)正規分布
$\bar{X}-s$ 管理図計量値サンプル数が多いとき($n \geq 10$)正規分布
$X-Rs$ 管理図計量値$n = 1$正規分布
$Me-R$ 管理図計量値中央値で管理したいとき正規分布
np管理図計数値(不適合品数)$n$が一定二項分布
p管理図計数値(不適合品数)$n$が変動二項分布
c管理図計数値(不適合数)範囲が一定ポアソン分布
u管理図計数値(不適合数)範囲が変動(単位あたり)ポアソン分布

管理図

工程が安定しているかを管理する手法である.

  • 管理図上の線の定義
    • 中心線(CL:Center Line)
    • 上方管理限界(UCL:Upper Control Line)
    • 下方管理限界(LCL:Lower Control Line)
  • 群分け:データをいくつかのグループに分ける
    • 群間変動:別の日のデータを見てばらつきを見る
    • 群内変動:同じ日のデータを見てばらつきを見る
  • 目的によって名称がある
    • 解析用管理図:工程が管理状態かを判断する管理図、すでに集められたデータを用いる
    • 管理用管理図:一度管理状態と判断した工程が現在も管理状態か(管理状態を保持できているか)を判断する管理図、解析用管理図に現在のデータを追加して作成されることが多い

管理図の安定状態の判断基準(JIS Z 9021)

安定状態の定義は次のようになる.
簡潔にすると「異常値、分布の偏り(外側と中心共に)、単調減少または上昇、データの発振」となる.

  1. 管理限界線をはみ出さない
  2. 中心線の片側に連続9点あるとき
  3. 6点が単調増加、単調減少しているとき
  4. 14点が交互に増減している
  5. 連続する3点中2点が$\pm 2\sigma$の範囲外にある
  6. 連続する5点中4点が$\pm \sigma$の範囲外にある
  7. 連続する15点が$\pm \sigma$の範囲内にある
  8. 連続する8点が$\pm \sigma$の範囲外にある

計量値に関する管理図

$\bar{X}-R$管理図

管理対象が計量値のときで、サンプル数が少ないときに使う管理図である。

  • $\bar{X}$管理図
    • データごとの平均値$\bar{X}$ をプロット、群間変動を見る図
    • $CL$ = 平均値の合計/データ群の数
    • $UCL = CL + A_2 \bar{R}$
    • $LCL = CL – A_2 \bar{R}$
    • $A_2$はサンプル数$n$などで変動する値
  • R管理図
    • データごとの範囲(ばらつき)をプロット、群内変動を見る図
    • $CL = \bar{R}$
    • $UCL = D_4 \bar{R}$
    • $LCL = D_3 \bar{R}$
    • $D_3, D_4$はサンプル数$n$などで変動する値
  • 郡内変動と群間変動の関係
    • 郡内変動は$\sigma_w = \frac{\bar{R}}{d_2}$で求まる
      • $d_2$は郡内のサンプル数$n$で変化し、係数表から読み取る
      • ‘w’はwithinの頭文字
    • $\bar{X}$の分散は、郡内変動と群間変動の和になる
      • 群間変動$\sigma_b = \sqrt{\sigma_{\bar{X}}^2 – \sigma_{w}^2/n}$

$\bar{X}-Rs(Rm)$管理図

サンプルが一つしか取れないときに使う管理図である。
サンプルが少量のときは$\bar{X}-R$管理図が用いられる。

  • $\bar{X}$管理図
    • 一点しかないので、各データをプロットしているだけ
    • $CL = \bar{X}$
    • $UCL = \bar{X} + 2.659 \bar{R}$
    • $LCL = \bar{X} – 2.659 \bar{R}$
    • サンプル数が一個のため、定数は決まっている
  • Rs管理図
    • 1点のみで範囲がないため、前後との差をプロットしている
    • 1点目はない(前後との差のプロットだから)
    • CL = 点の合計/(n-1)
    • $UCL = 3.267 \times \bar{Rs}$
    • LCLはなし

$\bar{X}-s$管理図

サンプル数が10個以上あるときに使う管理図。
※$\bar{X}-R$管理図は、サンプル数が少ないため範囲を取っている。

  • $\bar{X}$管理図
    • CL = 平均値の合計/データ群の数
    • $UCL = CL + A_3 \bar{R}$
    • $LCL = CL – A_3 \bar{R}$
    • $A_3$で係数の番号が違うことに注意
  • s管理図(小文字sは標本標準偏差のこと)
    • データごとの標準偏差(ばらつき)をプロット、群内変動を見る図
    • $CL = \bar{s}$
    • $UCL = B_4 \bar{s}$
    • $LCL = B_3 \bar{s}$
    • $B_4$はUCLなので、$n$が大きくなるほど小さくなる

Me-R管理図

  • Me管理図:中央値をプロットした図
    • $CL = \bar{Me}$
    • $UCL = \bar{Me} + A_4 \bar{R}$
    • $LCL = \bar{Me} – A_4 \bar{R}$
  • R管理図:$\bar{X}-R$と同様

計数に関する管理図

np管理図

サンプルの大きさが一定のときに、不適合品数($np$)を管理する図

  • 適合品か不適合品かの二項分布を仮定
    • 二項分布なので、$\sigma = n\bar{p}(1-\bar{p})$
  • $CL = n\bar{p}$ (または不適合品数$np$の合計/群の数)
  • $UCL = n\bar{p} + 3 n\bar{p}(1-\bar{p})$
  • $LCL = n\bar{p} – 3 n\bar{p}(1-\bar{p})$

p管理図

不適合品率$p$を管理する図で、np管理図とは違いサンプルの大きさが一定でなくても有効。

  • 適合品か不適合品かの二項分布を仮定
    • 二項分布なので、$\sigma_p = \sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n}}$
  • $CL = \bar{p}$
  • $UCL = \bar{p} + 3 \sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n}}$
  • $LCL = \bar{p} – 3 \sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n}}$

c管理図

不良点数を数え、不適合数(欠点数)を管理する図である。
ただし、群の大きさが一定のときに限る。

  • 例:金属板の傷の数を数える場合、金属板の大きさがいつも同じとき
  • 覚え方:Count (数える)の頭文字でC
  • 不適合数はポアソン分布を仮定
    • ポアソン分布なので、$\sigma = \sqrt{np} = \sqrt{c}$
  • $CL = \bar{c}$ (不適合数の和/群の数)
  • $UCL = \bar{c} + 3 \sqrt{c}$
  • $LCL = \bar{c} – 3 \sqrt{c}$

u管理図

単位あたりの不良点数を管理する図である。
単位あたりなので群大きさが異なる場合も使用できる。

  • 例:金属板の傷の数を数える場合、金属板の大きさが異なる時
  • 覚え方:Unit (単位あたりで数える)の頭文字でU管理図
    • ポアソン分布なので、$\sigma_p = \frac{\sqrt{np}}{n} = \sqrt{\frac{u}{n}}$
  • $CL = \bar{u}$ (不適合数の和/群の数の和)
  • $UCL = \bar{c} + 3 \sqrt{\frac{\bar{u}}{n}}$
  • $LCL = \bar{c} – 3 \sqrt{\frac{\bar{u}}{n}}$

参考文献

  • 教科書(日本規格協会)
  • 過去問題集(日本規格協会)

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