アンプの種類
アナログアンプは使う素子や増幅方法によっていろいろな種類が存在するが,有名なのはA級アンプ,B級アンプ,AB級アンプである.
これらはトランジスタの動作点,すなわち信号が来ていないときに電圧がどうかかっているかで分けられる.
先にそれぞれの特徴についてまとめておく.
バイアス点 | 歪み(音質) | 消費電力・発熱 | |
---|---|---|---|
A級 | 線形領域の中心付近 | ◎ | × |
B級 | 0付近 | × | ◎ |
AB級 | Vbe付近 | 〇 | 〇 |
A級アンプ
次に示す回路図は簡単なA級アンプである.
この回路では出力Voutのバイアス電圧(音声などの信号が何も入力されていないとき)は,Vb-0.6 となる.
入力電圧に直流成分に加え正弦波を上乗せすると当然出力は図のように正弦波が出力される.A級アンプは線形性の高い範囲で電圧を増幅するため,波形の歪みが少なくアンプとしては音質が良い.
しかし,無信号のときも常に大きいバイアス電圧がかかっているため消費電力が大きく発熱が大きい.
B級アンプ
次の図のように,B級アンプはバイアス点を0にする.
これなら無信号のときにバイアス電圧が0で定常における消費電力が小さいが,正弦波の片側のみしか増幅できない.
なので,下の回路図のようにn型とp型で分担して増幅する.
これがいわゆるプッシュプル回路である.
プッシュプル回路に正弦波を入力すると出力は図のように歪んだものとなる.
これは入力電圧がVbeより小さい電圧では増幅できないからである.
まとめるとB級アンプは無信号のときの消費電力が小さいが,波形が歪んでしまうという問題がある.
AB級アンプ
A級アンプとB級アンプでは長所と短所が真逆になっている.
そこでこれらの良いとこ取りをしたのがAB級である.
下の回路図のようにダイオードなどでバイアス点をVbe=0.6V 分だけずらす(図の赤点).
動作点をずらすことで,B級のときのような出力波形の歪みを防ぐことができる.
まとめるとAB級アンプは比較的消費電力が小さく,波形の歪みも少ないのが特徴である.
まとめ
アナログアンプはバイアス点によってA級,B級,AB級に分けられ,AB級はA級とB級の良いとこどりで線形性も確保でき消費電力も小さいため良く用いられる.
バイアス点 | 歪み(音質) | 消費電力・発熱 | |
---|---|---|---|
A級 | 線形領域の中心付近 | ◎ | × |
B級 | 0付近 | × | ◎ |
AB級 | Vbe付近 | 〇 | 〇 |
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