この記事ではカスコード接続とは何か,その特性について説明していきます.
カスコード接続の概要と特徴
カスコード接続とは次の図に示すように,ソース接地回路(M1)とゲート接地回路(M2)が縦積みされている接続のことを言う.
図のゲート接地回路のゲートには適切なバイアス電圧$V_{\rm B}$が与えられているとする.
先に特徴をまとめると,
- 低周波におけるゲインが高い
- 出力抵抗が大きい
- GBW(GB積)がソース接地回路と同じ
- 出力幅が制限される
になる.それでは,順番に見ていこう.
カスコード接続の電圧利得と周波数特性
本記事では,厳密な議論は別記事にして,天下り的にゲインの式を与えて議論を簡単にする方針をとる.
また,ソース接地回路との比較が重要なので以下も参考にしてほしい.
電圧利得と出力抵抗
カスコード接続のゲインは
$$
A_v = g_{\rm m1} r_{\rm DS1} g_{\rm m2} r_{\rm DS2}
$$
となる.また,$A_v = g_{\rm m1} R_{\rm out}$ から出力抵抗は
$$
R_{\rm out} = r_{\rm DS1} g_{\rm m2} r_{\rm DS2}
$$
とできる.
ソース接地回路では$A_v = g_{\rm m1} r_{\rm DS1}$であったので,$g_{\rm m1}r_{\rm DS1} \simeq g_{\rm m2}g_{\rm DS2}$ とすると,ゲインはもとの2乗となってかなり大きくなる.
これはカスコード接続によって加えられたゲート接地回路によって,出力抵抗が大きくなったからであると捉えられる.
周波数特性
次にカスコード接続の周波数特性について考えていこう.
まず,バンド幅は
$$
{\rm BW} = \frac{1}{2 \pi R_{\rm out} C_{\rm L}}
$$
である.よって,GBWは
$$
{\rm GBW} = A_v \cdot {\rm BW} = g_{\rm m1} R_{\rm out} \frac{1}{2 \pi R_{\rm out} C_{\rm L}} = \frac{g_{\rm m1}}{2 \pi C_{\rm L}}
$$
となる.これは1段のソース接地回路のときと同じである.
まとめると
- 低周波でのゲインが大きい
- バンド幅が小さい
- GBWは同じ
となるので,周波数特性の概形は次のようになる.
よって,ソース接地回路よりも低周波におけるゲインは大きいが,高周波向けではないことが分かる.
まとめ
カスコード接続とは,ソース接地回路とゲート接地回路が縦積みされている接続のこと.
低周波におけるゲインが大きいが,バンド幅が小さく高周波領域でのゲインは限られる.
参考文献
[1] Willy, Sansen. Analog Design Essentials. Springer Science & Business Media, 2007, chapter #2
コメント